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法律(民法)は、人が亡くなった(亡くなった人のことを被相続人といいます)場合、相続人とその相続分を次のように決めています。
血族相続人 | 配偶者相続人 | |||
第1順位 | 子 | 2分の1 | 配偶者 | 2分の1 |
第2順位 | 直系尊属 | 3分の1 | 3分の2 | |
第3順位 | 兄弟姉妹 | 4分の1 | 4分の3 |
※直系尊属…被相続人の両親、両親が死亡している場合は祖父母。
ポイント次のとおりです。
・被相続人の配偶者は、常に相続人となる。
・配偶者は血族相続人がいる場合は、同順位の相続人となる。
・配偶者は血族相続にがいない場合は、単独で相続人となる。
・配偶者がいない場合は血族相続人が単独で相続人となる。
・子・直系尊属・兄弟姉妹(血族相続人)が数人いる場合は、各自の相続分は均等となる。
仮に、遺言がなかった場合は、上記法定相続分に従って遺産を分けることになります。しかし、相続分の割合は決めていますが、何を相続するかまでは決められていません。そこは、相続人どうしの話し合いで決定することになります。また、法律では、相続人どうしの自由な話し合いで自由に遺産を分けることも可能となっています。この場合, 誰が何をどのくらい相続するかはまったくの自由です。ゆえに、この話し合いの段階で、争いが起きることがたびたびあります。遺産を残した当の本人はすでにこの世にはいませんから、相続人は、故人の意思を自由に解釈し、自分本意な主張をするかもしれません。お金は人を変えます。まさにドラマさながらの骨肉の争いです。ご自身亡きあと、子供や親族が争うことは避けたいものです。
そこで、ご自身の生前の思い、願いなどを遺言書という手紙に託すのです。遺言書というと、資産がある人が書くものといった認識がありますが、そうではありません。私は以前相続手続きの業務の傍ら、とても心に残る遺言書を拝見しました。それは、故人が自分の人生を振り返り、よい生涯であったと家族、知人、周囲の方々すべてに感謝する内容から始まりました。そして、自分の遺産については、相続人ごとにきちんとその思いと理由を記したうえで分配し、最後は、残していく方々への労りと愛情溢れる言葉で締めくくられていました。私は、もちろん、この遺言書を書いた方を知りませんが、その遺言書に強いメッセージを感じました。当然、相続人の方々は故人のこの強い思いをしっかり受け止めたはずです。この遺言書の存在は、私の遺言書に対する捉え方を大きく変えました。ただ単に遺産の分割の方法を書いた紙じゃないんだと。ですから、私は『遺言書は最後の手紙である』という考えのもと、遺言書を書く方のお手伝いをさせていただいています。もちろん、遺言書の正しい方式にのっとって、法律的効力の面からもきちんとご指導させていただきます。
みさなんも、遺言書を書きませんか?あなたが書く最後の手紙として…
これまでを、整理してみましょう。遺言書を残さなかった場合は、次のように故人の遺産が分配されます。
・相続人は法律で決まっている。相続分も同様。(法定相続)
・しかし、相続人全員の話し合いで自由に遺産を分けることが可能。
このままでは、故人の意思が考慮されることはあまりなさそうです。しかし、遺言書を残すことによって故人の意思を反映させることができます。例えば、財産を特定の相続人に集中させたり、相続人から廃除したり、相続人以外の人に遺産をあげたり、遺産分割自体を禁止することも可能です。
以下に特に遺言書が必要な場合を事例をあげてご紹介します。
夫婦の間に子供がいない場合
子供がいない場合は、妻と、自身の両親や兄弟で遺産を分けることになります。生計を共にした妻に全額残したいというのが通常でしょう。
息子の妻に財産を譲りたい場合(息子はすでに他界)
残念ながら息子の妻には相続権がありません。生前面倒をかけたのなら、少しでも遺産を残してあげたいですよね。
先妻の子供と後妻がいる場合
家庭環境が複雑な場合は、特に注意が必要です。
内縁の妻がいる場合
内縁の妻には相続権がありません。
相続人が全くいない場合
原則、国にいってしまいます。
個人企業を経営していて、特定の相続人に承継させたい場合(事業承継)
遺産を公益事業に寄付したい場合
友人や知人などお世話になった人に遺産を譲りたい場合
相続人以外の方に遺産を譲りたい場合は、『遺言執行人』を定めるようにしましょう。相続人と揉める可能性がありますので、適正に遺言書の内容が実効されるよう司法書士や弁護士といった専門家に遺言執行人になってもらい、配慮する必要があります。
障がいのある子供により多くの遺産を残したい場合
など
※遺言できる事柄はいろいろありますが、認められていないこともありますので、注意が必要です。
※『遺留分』の規定により、必ずしも、遺言のとおりに遺産が分配されない場合があります。
遺留分とは??
一定の相続人(※)に認められている相続財産の一定の割合(※※)のことです(遺留分減殺請求によって権利を主張)。
一定の相続人(※)とは、①子(代襲相続人を含む)②直系尊属③配偶者であり、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
一定の割合(※※)とは、②直系尊属のみが相続人の場合は相続財産の3分の1、①子(代襲相続人を含む)③配偶者が相続人の場合は、相続財産の2分の1となります。
遺言には、普通方式遺言(自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言)と特別方式遺言(一般危急時遺言、難船危急時遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言)があり、ここでは主な遺言の方式である自筆証書遺言と公正証書遺言についてお話しします。
■自筆証書遺言■
方法 | 遺言者が遺言書の全文、日付、氏名を自書し、押印する |
特徴 | 最も簡単な方式である。相続開始後に検認が必要。 |
長所 | 費用がかからない(専門家への相談料除く) 簡単にいつでも書き直しができる 秘密にできる |
短所 | 条件を満たしていない等の理由で無効になる場合がある 発見されないおそれがある 検認の手続きが面倒 |
■公正証書遺言■
方法 | 公証人の面前にて遺言者が口述した内容を、公証人が筆記 する。証人が2人以上必要。遺言者、証人、公証人が署名 押印する。 |
特徴 | 手続きが煩雑で費用がかかる。検認不要。 |
長所 | 紛失・改変のおそれなし(原本を公証役場で保管するため) 検認の手続きが不要 遺言書の有効性がかなり高い |
短所
| 公証役場への手数料がかかる 作成にあたり、時間と労力が必要 書き直しには、再度同じ手続きを行う必要がある |
世間一般で言われる遺言の方法2種類を簡単にご説明しました。ここでは、有効な遺言としての要件、その方式などをご紹介します。遺言書としての要件を満たしていない場合、遺言書は無効となります。通常みなさんが考える契約書などの文書より厳格ですから、注意が必要です。
■自筆証書遺言の場合■
●用意するもの● 紙とペン、はんこ(認印可)など
●要件●
①遺言書(全文)はすべて手書き(自書)で書きましょう。
筆跡から遺言者自身が作成した遺言であると判断するためで、パソコンなどの機会で作成した遺言や他人が書いた遺言は無効です。
②日付を書きましょう。
『何年何月何日』とはっきり書きましょう。遺言は何通書いてもOKなので、2通以上の遺言書が発見された場合、前後不明となってしまうからです。
③氏名を自書しましょう。
④押印しましょう。
■公正証書遺言の場合■
●用意するもの● 実印、印鑑証明書、登記簿謄本(不動産がある場合)など
●要件●
①公証人の面前で遺言内容を口頭で伝えましょう(口授)。
公証役場へ行くか、公証人に出張してもらいましょう。公証人が内容を筆記します。
②証人が最低2人必要です。
公証人は、遺言者と証人にその内容を読み聞かせるか、閲覧させます。問題なければ、遺言者と証人が、署名押印します。
大きなポイント以上ですが、その他、細かく注意すべき点がまだまだあります。よくある質問をQ&A方式でまとめましたのでこちらからチェックしてみてください。せっかく残した遺言が無効だった!なんてことにならないようにしましょう。 司法書士が解説!相談室Q&A はこちら
故人の死後、身の回りの整理をしていたら、『遺言書』なる封筒を発見!さて、どうしましょう。
まずは、それが、自筆証書遺言か公正証書遺言は確認しましょう。自筆証書遺言ならば、家庭裁判書の検認を受ける必要があります。(公正証書遺言であるならば、不要です。)封筒に入っているならば、開封せず、そのままの状態で家庭裁判所に持参しましょう。
検認についてもっとよく知りたい方はこちら 司法書士が解説!相談室Q&A
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司法書士プロフィール
司法書士の杉本由加です。
親しみやすさナンバーワン司法書士を目指しています。
三鷹市在住、武蔵野市在勤。
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